片付ける意思に逆行 損失回避は汚部屋・ゴミ屋敷住人の心理にも
あなたが片付けられない理由、一つ目の前回記事”授かり効果”はいかがでしたでしょうか?
今回第2弾として、引き続きモノを捨てられなくなるその心理について考えてみましょう。
片付けに悩みを抱えるご相談の中には、”モノを手放す(あるいは捨てる)事に対し、強烈な拒否反応を示す”方が少なくありません。
私が元々持っている性質で、変えられない現状は仕方がない。
そう思っていませんか?
もしかしたら何か別の要因があるのかも知れませんし、今の汚部屋・ゴミ屋敷環境を作り出してしまっている原因の一つになっている可能性だって否定出来ません。
知識として知っておいて損はございませんので、是非読み進めていってください。
人にとって一番大切なモノは “愛” “金” それとも “モノ” ?!
あなたの宝物って何ですか?
パートナー、子供、恋人、両親、友人、ペット、推しの有名人、ドハマりしてる趣味・・・、人それぞれあると思いますが、心に刺さっているかけがえのないものに違いはないでしょう。
ひとつ、過去当社でご相談のあった最も極端な例を挙げてみましょう。
Aさん(仮)は長年片付ける事が出来ず、かつ買い物依存の傾向があるため、部屋中が常に足の踏み場すらない状態。
その状況を見かねた彼氏さんからのコンタクトがきっかけでした。
Aさんご本人は資産家の家に生まれ、経済的には何不自由ない生活をしていましたが、”異常なまでのモノへの執着心”を持つ方でした。
ご自身の物件を3軒も持たれていましたが、何とどの家も床が見えない程のゴミ屋敷。
扉を開けた瞬間に漂う、ナマモノの腐敗したニオイが漂います。
最も大変なのは、通常の感覚を持つ方であれば、明らかにゴミ(あるいは不要物)といえる様な、
- 汚れたレジ袋
- 腐りかけの食べ物
- グチャグチャにされたままの、新聞の折り込み広告
など、これらほぼ全てが捨ててはいけないモノだったのです。
時間をかけても、片付けが進むのはほんのごく僅か。
最終的には、自身で断念なさる残念な結果となってしまいました。
心から心配してくれた彼氏さんとは婚約中だったのですが、1年にも及ぶ彼の根気強い問いかけにも耳を傾ける事なく固執した結果、とうとう彼も彼女の元を去ってしまう事となりました。
結果的に彼女が本当に大切にしたかったモノは、守る事が出来たのでしょうか?
愛情よりも物欲が勝ってしまったのはナゼなのでしょうか?
彼女が何よりの優先したかったもの:損失回避
損失回避とは、物を失うのをすごく嫌う気持ちを指します。
通常多くの人は、得をしたことより損をしたことに対して、より感情的に過剰に反応してしまうのです。
【問1】
サイコロを振って、奇数が出たら100万円あげるけど、偶数が出たら50万円私にちょうだい」
アナタはどうしますか?
【問2】
100%の確率で100万円がもらえる
50%の確率で200万円がもらえる(残りの50%は0円になる)
アナタはどちらを選びますか?
多くの方の場合、
一つ目の問いにはNO、二つ目の問いには”100万円”を選ぶ
事になります。
そしてこれが “借金” のケースになると、
【問3】
100%の確率で100万円の借金が帳消しになる
50%の確率で借金200万円全額が帳消しになる(残りの50%は無効になる)
多くの方は50%で全借金が帳消しになる方を選ぶのです。
なぜなら人は“利益も得たい”と考えますが、それを大きく上回って“損失を避けたい”という気持ちが勝つからと考えられています。
一説によると、人は得をしたときより、損をしたときのほうが2.5倍、「損した感」が強いそうです。
この事は片付けにも応用できる部分があるでしょう。
アナタには使わないものを持ち続ける事を優先し、最愛の恋人との将来を棒に振った彼女の気持ちが理解できますか?