空き家・ゴミ屋敷から通知文書が返送される様々な事例
前回に引き続き、空き家・ゴミ屋敷に陥る原因の一つとして取り上げさせて頂きました、Mさんの体験談に関する続編記事として、還付郵便(住人不在のため戻ってくる郵便物)に関する調査が続きます。郵便局から通知文書が返送されてくるケースは様々です。
皆さんも郵送物が戻って来た時に、返送理由が記載されているのをご覧になったことがあるかと思います。
ここでは、私が扱った事例を紹介していきます。
1. あて所に尋ね当たりません
郵送先の住所に人が住んでいないため、返送されてくるケースです。
現在では事細かく理由を書かずに、統一してこの理由を用いているようです。
2. 夜逃げ⁈ 転居先不明
以前は、その場所に人が住んでいたが、今は住んでいない場合です。
現在では、この返送理由は使用されていないようですが、私が業務を担当していた15年程前には存在していました。
最近では、個人情報の取り扱いに厳格さを要求されるようになり、具体的な返送理由を明記しないようになったようです。
担当者として業務に従事していた時に郵便局に問い合わせたついでに、上記の2ケースについても聞いたのですが、あまり明快な回答を得られませんでした。
返送理由については、現場の状況を把握している配達員の裁量で決められるようで、そのことも影響していたのかもしれません。
3. あて名不完全です
あて名に苗字しか書いていなかったり、住所の枝番が書かれていなかったりするケースです。
行政は住民票に基づいて文書を発送するためこのケースは少ないのですが、たまに職員が封筒に手書きで住所等を記入する場合、一部不備があり戻ってくることがありました。
空き家・ゴミ屋敷問題 還付郵便 戻り分調査の体験談
前回も戻り分調査の実例を書きましたが、それ以外の体験談を紹介します。
1. 火事で焼け落ちた家屋
現地を訪問すると、火事で焼け跡と化した家屋を目撃したことがありました。
まさか、通知文書が戻って来た理由が火事だったとは思いもよらず、一緒に訪問した先輩と呆気に取られたことを覚えています。
近所の人曰く、一時的に知り合いのところに身を寄せているとのことでした。
2. 失踪⁈ 家族から逃げるケース
平屋で暮らしていた独居老人が、いきなり行方不明になったことがありました。
後で分かったのですが、近所に住む放蕩息子が年金目あてに集りにくるなど生活の危機に瀕していたので、住民票を置いたまま遠方に行方をくらましたとのことでした。
配偶者のDVから逃げるため、住民票をそのままにして引っ越しをすることがありますが、今回のケースも同様の事例といえるでしょう。
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3. 表札に書かれていた謎の研究所
その住所を訪ねると、確かに表札があり人の住んでいる気配はありました。
しかし、表札には「宇宙の真理を探究する〇〇研究所」という怪しい名称が書かれていたのです。
目的とする人物の名前はどこにもなく、これでは郵便局の配達員も二の足を踏むのも仕方ないと思ったものでした。
4. 組事務所
住所をよくよく調べてみると、暴力団関係の組事務所だったこともあります。
表札もなかったため、氏名の確認ができなく戻ってきてしまったようでした。
暴対法の施行前とはいえ、さすがに住民登録する際に「○○組事務所内」という方書をつけることはしないので、所在確認が難しいケースでした。
あとがき
前回記事の
汚部屋・ゴミ屋敷問題を考える トリプルエス
から始まった体験記事ですが、一つの郵便物をキッカケとして、人それぞれの事情が浮き彫りになっていくのが興味深かったですね。
中でそのお仕事に携わる方でないと経験出来ない貴重なお話を伺うコトが出来てウレシイです。
Mさんご自身がまだ新採職員として担当されたお仕事が、この戻り分調査でした。
Mさん曰く、
「社会経験も人生経験も乏しかった自分にとって、それは驚きの連続でした」
自分の知らないところで、起こっている様々な人生模様。
一見すると、ある日突然失踪したかの如くもぬけの殻になった空き家にも、その裏にはそこに住んでいる人のやむにやまれぬ諸事情があるのですね。
「そのことを知り、社会の縮図や人生の苦難の一端を勉強させてもらえたことは、公務員生活を送るうえで貴重な財産となりました。」
と括られております。
ゴミ屋敷や不用品 リアル片付け作業実例
汚部屋・ゴミ屋敷 片付けが出来ない方にこそ