本人以外が片付けられないご相談は事前の告知、話し合いを
今回はご依頼につながらなかったケースよりご紹介いたします。
片付けられない問題を抱えるご当人ではなく、そのご親戚の方からのご相談で始まりました。
結婚から数十年、継続的に家が散らかっている状の為、最初は訪問の度に片付けていたものの、これでは埒が開かない。
根本から改善していく為に、一度専門家に話を聞いてもらいたいというのが主旨でした。
片付けが苦手というのがそのご家族の奥さま。
聞けばこのご家庭、結婚してから20年程が経過し、既に3人のお子様にも恵まれておられます。
お子様達もお世辞にも片付けが上手とは言えず、家は全体的に散らかり放題との事。
過去にはお手伝いさん2名を雇い入れ、サポートしてもらった事もあったのだそうですが、結局その時だけそれなりに整頓されるだけで一時的な効果に過ぎなかった事から、なんとか改善に導く提案・協力を仰ぎたいという切実な思いを感じました。
(電話口にて)
「状況はだいたいわかりました。 ただご本人には少しでも良くしたいというお気持ちはありますか?」 私が聞くと、
「このままではいけない」という気持ちはもっているとの事。
でもこの時、私の注意していた点に問題がある事には、まだ気づく由もありませんでした。
さらに直接押しかけては本人が警戒するという為、日程を調整の上、約1時間ご親戚の方よりさらに詳しいお話を伺った後(プライバシー保護上の理由で内容は伏せます)、現地へ移動。
(あくまでも主観ですが)片付けられないという奥さまは、伺っていた内容と少し異なる印象を受けました。
通された部屋は、お世辞にもキレイに片付いているとは言えないものの、床にモノが散乱している訳でなく、割とスッキリしておりました。
テーブルにご親戚(相談者)、奥さま(片付けられない当人)、ご主人、私の4人が掛け、簡単な挨拶のあと話を始めます。
話の経緯、弊社のサポートサービスについて話はじめると、ご主人が「で、要点を言ってもらえますか?!」と仰います。
ご親戚からご相談を受け、本日は作業ではなく直接ご本人様にお話を伺い、この先のプランをご提案したい旨伝えると、
(ご主人)「そんな話は聞いていない。 片付けられないから手伝って欲しいのではなく、こちらが要る・要らない、場所を指定するので、そのままやってくれればそれで良いんです。」
(私)「モノはご主人さまの所有物に限られず、奥さま、お子様達のモノも多く、それら全体の片付けを通して、再び散らかりにくい様にする事の方が重要ではないでしょうか?」
(ご主人)「私は片づけ方を知っている。 以前のお手伝いさんのように指示に従って動く人間だけで良いんです。」
(私)「それでは仮に誤ってお子様達の大切になさっているモノを捨ててしまうリスクや、根本からの改善から遠のくのでは・・?」
(ご主人)「妻・子供達のモノでも、私が要らないと言えば要らない。 捨ててしまえでいいのです。」
(私)「それぞれのご家庭のルール・ご事情に口をはさむ気持ちはございません。 しかしながら弊社は、”捨てなさい”という単語は一切使用致しません。 またご主人の仰るお手伝いサービスは、残念ながら弊社ではお受けいたしかねます」
(ご主人)「お話は以上ですか?(席を離れる)」
聞いていた話と違います。
何を申し上げるにも、全くとりつく島もなく、奥さまは終始無言。
片付けにはタイプや個性があります。
いろんな片付け本があって、それぞれ少しずつ異なる点があり、本に書かれた内容が読み手の片付け方にハマる場合とそうでない場合が生じるのもそういう事です。
亭主関白や昔ながらの家父長制度など、それぞれの家庭のシステムであり、個々の事情ですから何も申し上げる事はございません。
ただこと片付け方法に関しては、家族といえどもひとりひとりその方に合うやり方を導入する方が良いのです。
怒鳴りつけ強制的にモノを排除してしまうと、排除された側の心はより硬化し、改善から更に遠い状況に陥りかねません。
家単位の片付けは、家族がお互いに理解し、共通の目標を定めてこそ明るい道が開けるのではないかと私は考えます。