西区在住20代女性Uさん ゴミ屋敷生活者になったトラウマを語る
前回ご紹介致しました自己嫌悪に陥るホテル住まい女性の続編記事となります。
ゴミ屋敷・汚部屋片付けに関する記事は通常ビフォーアフターの流れで掲載しておりますが、今回は実験的に逆再生という形を取っております為、①片付け完了後 ②片付け前 ③片付け途中経過 の3部構成となります。
初めてご覧になる方が、強烈なビジュアルに抵抗を感じられるかも..という事で、一度変化を付けてみましたがいかがでしょうか?
さてさて、冒頭の画像が片付け開始前の玄関の様子です。
2枚目は既に片付け撤去開始し、玄関から奥のリビングの状況も伺える様にしております。
とにかく部屋中がゴミや不用品で溢れており、特に水回りの汚れはとても深刻です。
キッチン周り、シンクの中、バスルームの洗面器の中と床はゴミだらけで詰まりを起こし、異臭も放っていてUさんの片付けに手を付ける勇気を削ぐのに十分過ぎる破壊力を持ちます。
トイレだって同じく、便器の中は地獄絵図、足元にはトイレットペーパーの芯、使用後の生理用品等、負けず劣らず壊滅的光景が広がります。
通常に暮らす人達にとっては、「何でこの様なゴミ屋敷状態に至るまで片付けられないの?」という事ですが、その理由・原因については住人によって様々なのです。
彼女がゴミ屋敷を片付けられない理由 ADHDだけじゃなかった?!
Uさんとはこのゴミ屋敷片付け作業を始める前の段階、メールから始まり、電話相談で沢山お話しました。
もちろん気がかりな片付け費用の事がありますので、まず最初に画像を頂き、量や状況、ご希望内容について詳しく伺ってお伝え致しました。
実はUさん、ずっとずっと以前から当ブログをご覧になっておられ、片付け依頼の検討はなさっていたんです。
恐らく今現在、ゴミ屋敷(あるいは汚部屋)状態の中から当ブログに目を通している方もいらっしゃる事とは存じますが、片付け依頼案件全体の1/3くらいは半年~2年間くらい
「あ゛~どーしよ・・片付けたいけど、恥ずいし不安だし・・・」
の自己ループ経由でこられます。
Uさんも、仕事が忙し過ぎる事もあるけれど、恥ずかしい気持ち、情けない気持ちで相談に進むまで長い長い時間が必要になってしまいました。
電話口でも再三
「ホントに、本当に、めっちゃ散らかってて汚いんですけど、大丈夫でしょうか?…」
と仰っていました。
そして
「私が部屋を手の付けられないゴミ屋敷にしてしまったのは、発達障害(ADHD)があるからなんです」
続いてお伝え頂きました。
ADHDに対する認知は既にかなり広がっておりますが、【不注意】と【多動・衝動性】を併せ持つ病として、日常生活で、また職場においても当事者と周囲の人々との間で様々な支障をもたらせます。
これまでも同様に発達障害の問題を抱える方々からの片付け相談を受けてきましたが、メールの文章、電話での会話の進め方を見ても、Uさんの生真面目さは伝わってもADHD特有の印象を受けなかったですが、診断結果とご本人の自覚がおありの様で..。
仕事面でも恐らく真面目にコツコツ進められているとお察ししますが、ADHDの特性上はるかに慎重さを求められたりするので、普通の方より余計な負担がかかって疲れるでしょうね。
そこから部屋が荒れるに従って、元々身体がそれほど丈夫ではないUさんが、自室で寛ぐ事もままならず、週の何日かはホテルという様な暮らしに変わっていくのですが、更に話を進めていくと片付けられない問題が ”ゴミをなかなか捨てられない” 事に起因する事が判明しました。
捨てられない原因が物への執着ではない?! ゴミ屋敷生活に陥る衝撃トラウマ
そういえばいつものゴミ屋敷・汚部屋とは異なる点を片付け作業中に気付かされました。
それは部屋中に散乱する書類の全てが細かくビリビリに裂かれ、まるで紙吹雪を撒いた後の様に、他の不用品ゴミのすき間に入り込んでいた事。
液体がこぼれたりしている箇所には頑固にへばりついたり…とにかく片付け・そうじがやりにく事この上なく、”モーッ!” ってなるやつなんです。
なんで自分の部屋をこんなにも片付けにくくするんだろう?
ここまで来ると片付け相談ではなく身の上話の領域になるかも知れませんが、その引き金となる事件がちゃーんとあったんです。
Uさん、実は学生の時にとある地方から大阪へ移り住み、卒業後引っ越しするも、就職も地元へ帰る事なく大阪へ住まわれ続けていらっしゃるのですが、その事件は学生時分へタイムスリップ致します。
初めての大阪、初めての一人暮らしで選んだのは大国町のとあるワンルーム。
街の様相も近年では様変わりしましたが、以前は違法風俗店や薬物がらみの犯罪など、正直なところ女性の一人暮らしにおすすめしたいエリアではありませんでした。
そういう土地勘も持たないUさんが大国町で暮らし始めてしばらくのこと。
なんと彼女の出したゴミを、浮浪者が漁っていたのです!
しかも一度や二度ではなく…そんな衝撃的な光景を目の当たりにし、すっかり恐怖感に包まれてしまいました。
請求書やDM…氏名住所等の個人情報が記載された書類で身元が特定されてしまう。
もしも悪用されたらどうなるのか…。
とうの昔に西区のマンションへ引越し、治安面での心配も全くなくなりましたが、今でもゴミ出しの行為そのものに対して躊躇する気持ちが強く残すキッカケとなりました。
書類を粉々に引き裂かないといられない…このトラウマは発達障害よりはるかに大きな障害として、彼女の中に留まっているのでした。
次回、締めくくりの最終回では特殊清掃作業について、触れていこうと思います。
記事書かなくちゃ…。