もしかしてADHD? 部屋の片付けが出来ない、続けられない発達障害
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは文字通り、行動面や注意力において様々な問題を引き起こす発達障害の一つです。
部屋の片付けを行う上でも影響の及ぼす症状ですので、今回改めて取り上げてみました。
一般的にADHDとひと括りにされていますが、人によってその症状は異なります。
- 衝動が押さえられず、じっとしている事が難しい
- 失い物、忘れ物が多い
- 集中力が続かず作業の持続できない
- 作業等に集中または没頭し過ぎて、周囲が全く目に入らない
ADHDの症状としてよく挙げられる例ですが、この内1つだけにあてはまる方、複数に該当する方など様々です。
そしてこれらが学校や仕事等の日常生活面で出て来ると、行動への制限や支障来たすリスクが生じます。
それでは各特徴別にイメージしやすい様、シチュエーションや人物像を挙げてみましょう。
特徴別 ADHDの典型行動 どう付き合う? 強みと弱み
1. 衝動が押さえられず、じっとしている事が難しい
整然と列に並んで順番を待つ行為、日常的な光景ではお買物時のレジ清算の順番待ちがありますね。
この様な事が苦手で、しんどさを感じる、そわそわしてしまう。
突然ですが、お笑い芸人プラスマイナスの岩橋さんをご存知でしょうか?
「オーシャンビュー!」
何の脈略もないセリフと衝動的な行動で、ひと味もふた味も違う個性を放つ吉本興業の芸人さんです。
この芸人さんには数々の逸話(ダウンタウン浜田さんとのジーンとくるいい話も含め)があって、彼は”キチンと振舞わないといけないシーン”でナゼか無茶をしてしまう衝動が抑えられずに発動させちゃう”人なんです。
テストではマークシートの記入例(悪い例)をそのまま書いてしまったり、とにかくやっちゃいけないと思うとやらないと気が済まなくなるのだとか。
ネット上で彼は、よくADHD等の発達障害やトゥレット症候群ではないかと指摘されたりするのもこの様な芸風(?)からでしょうが、本人は診断を受けた経験もなく、これはあくまでも”クセ”であると否定されております。
ただこれは彼が芸人さんだからこそ見事笑いへと昇華できましたが、一般的のお仕事で、それもシリアスなシーンでやっちゃいけない行動をしてしまったら、場合によっては取り返しのつかない状況に陥ってしまうでしょう。
2. 失い物、忘れ物が多い
ADHDの人々が片付けをする際に抱える問題の1つは注意力の問題です。
誰かとの会話や通話中、あるいは考え事をしながらという様な時に、物をポンと無造作に置いてしまう。
こんな事って多くないですか?
そして後になって「アレがない、コレがない!」と大騒ぎしてしまう。
その頻度が高ければ高いほど、何がドコにあるか分からない事が当たり前になって、ストレスフルな日常が続くハメになってしまいます。
物の所定位置を決める事が重要なのは多くの片付けノウハウで語られていますが、何かをしながらついつい無意識でやっちゃう散らかし行為が、翌朝の探し物パニックタイムに直結していますので、改めて細心の注意を払いましょう。
まぁ、そう言って難なく出来るなら、とうの昔に問題化してないですよね?
特に注意力に自信のない系のADHDの方には、適したツールでその弱点を補ってやるという選択肢だってあります。
本当に大切な物や毎日使用し欠かせない物を、スマホと一緒にひとまとめにして”紛失防止タグで管理する”というのも、効果的なトラブル対策の一つとして安心です。
このタグは、まず失し物をしない様に一定距離離れるとアラームで知らせてくれる機能、そして見つからない時にはアプリから探す機能と、両面サポートが可能なスグレモノなので深刻な方は一考の余地ありですよ。
3. 集中力が続かず作業の持続できない
ADHD等の発達障害が原因で、片付け下手な方にみられるその他の特性として、”集中が続かない”問題があります。
誰しも興味のない作業となると集中力を保ち続ける事が困難となりますが、その作業中に別の物が視界に入り、興味関心が根こそぎそちらへ持っていかれ、結果これまでやっていた作業が中途半端に終わってしまうなどのトラップにも注意が必要でしょう。
例えばそれが片付け作業で、それも汚部屋やゴミ屋敷の様に物や不用品が溢れ、視界が塞がってしまう環境だったらと想像するとどうですか?
目に映る物すべてから常に作業を妨害されてしまう様な感覚に陥るかも知れませんね。
当社のコンサル片付けはマンツーマン、二人三脚で片付けを進めていくのですが、シンプルながらもこれらの誘惑(モノによる妨害)に打ち克つため様々な有効手段を取り入れて実践しております。
単純なところで言うと、作業中に注意散漫で少しぼーっとしてしまっても、一緒に片付け作業をしている仲間が視界に入る事で、「あっいかんいかん、こんな事してる場合じゃない、さぁ片付け片付け…」と軌道修正が出来たりします。
黙々と、会話をしながら、あるいはアイコンタクトを取りながら…等々、時々に合った片付け方で進めていくのが良いでしょう。
4. 作業等に集中または没頭し過ぎて、周囲が全く目に入らない
3とは真逆の症状となりますが、片付け作業上に立ちはだかる障害として過集中があります。
集中と緩和のバランスを取り、自身を上手にコントロールする事が苦手なADHDの方にとって、過集中とはいわゆるゾーンに入っている状態に近いものであると考えます。
ADHD系アーティストと言われるアンディ・ウォーホルは片付け下手の逸話がございますが、どっぷりと作業にのめり込みほどの過集中があったからこそ、数々の名作が生み出されたのかも知れませんね。
再びコンサル片付けの話になりますが、1回あたりの基本的な作業時間を6時間と定めながらも、時間割の選択は相談者さんにお任せしています。
疲れを感じやすい方、集中が苦手な方、逆に集中し過ぎる方、その日の体調や気分のコンディションに合わせ、ADHDの方にとって心地よいペース配分を最優先致します。
乗ってる時なら多少の過集中だってウェルカム!
せっかく効率良く改善が進んでいるにも関わらず、逆に中断を入れる事によって、今度は全然集中して片付けられない状態に陥るのはもったいないですから。
但しその片付けの進め方には注意点もあるので、何でもかんでもやっちゃえ!は危険です。
さいごに
今回はADHDと片付けについて、実際の片付け作業あるあるエピソードを交えつつまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
自宅の片付けはプライベートな作業ですから支障ありませんが、この様な発達障害で何かしらの困難を抱えていらっしゃる方は、医師への相談(診断)が有効です。
薬での完治はまだ先の話になりそうですが、一部症状を抑える事が可能です。
症状緩和により、対外的にしんどい思いをされた分野で、適応しやすくなればストレスも軽減し生活を楽しむシーンも増える事でしょう。
もう一方では、勤務先や学校への連絡について検討される事も選択肢の一つかと。
誤解や偏見などでやりにくくなるという心配もあるかも知れませんし、それぞれの環境下で共に時間を共有する人によっても反応はまちまちな分、軽々しい判断は禁物。
しかし、ADHDをはじめとする発達障害の度合いが強く、学業・仕事面での悪影響・困難が大きい程、双方にとってカミングアウトの必要性は逆に高まるかも知れません。
ひと昔前とは異なり、少しはADHDに対する社会の認識も深まりましたので(まだ誤解されている部分は少なくないですが)、予め伝えておく事で周囲との軋轢回避、調和を保つ一つの方法・選択肢としてお考え下さい。
このADHD、大人の発達障害については、片付け以外の面でも今後取り上げていきたいと思います。