もしかしてゴミ屋敷? 空き家⁈ 高齢者宅の還付郵便の示唆するもの
着実に高齢化社会の道を進む日本、近年はここ大阪でも空き家や、高齢者宅のゴミ屋敷問題が深刻化しています。
そんな中、公務員を退職されたMさんより興味深い体験談が寄せられましたので、ご紹介しましょう。
以前、私は某地方都市の市役所に勤務しておりました。
その時の体験談を書いていきたいと思います。
それは、今から15年ほど前のことでしょうか。
私は介護保険関係の部署に配属され、納入通知書や介護保険の被保険者証などをはじめとする、各種通知書を発送する担当業務をしておりました。
被保険者証でいうと基本的には毎月まとめて資格取得者(65歳に到達した方)に送付します。
納入通知書は年2回、全対象者に一斉に送るのですが、被保険者証と同様各月ごとに資格取得者にも送付します。
このように頻繁に様々な郵送物を送るのですが、厄介なのは郵送物が何らかの理由で戻って来てしまうことです。
住人不在のワケと戻り分調査 片付けず空き家を放置するリスク
郵便局から宛て所不明等の理由で還付された郵送物は、もちろんそのまま放置してはおけません。
住民票を管理する市民課にも調査係があるので、そこに状況確認を行います。
そこでも状況を把握できていない場合は、戻り分調査を行うため現地に赴き臨戸訪問をすることになります。
実は、郵送物はチラホラと還付されてくるのですが、さすがに毎日は現地調査に行くことは出来ないので、1ヶ月に1度ぐらいのペースで訪問していました。
その業務を実際に体験すると、一般市民として普通に暮らしていては知ることのできない、なかなか貴重な体験となりました。
当時、私はまだ入庁して数年ということもあり、副担当者の先輩と一緒に調査を行っていました。
社会経験の乏しい私には、先輩が探偵のように思えたことを今でも覚えています。
やはり、現地に赴き調査に行くと様々な事情が浮き彫りになって来るものです。
実際にそこに住んでいても表札の苗字と違うために還付されるケースや、単純に郵便局の配送ミスの場合もありました。
また、不在の場合でも、電気メーターが動いている家屋は少なくとも人が住んでいるはずなので、後日再訪問します。
そして、近隣住民にも聞き込み調査を行いました。
ほとんどの場合、足取りが分からず徒労に終わるのですが、ごく稀に貴重な情報をもたらしてくれることがあるからです。
介護保険の場合、対象者が65歳以上の高齢者なので、体調を崩し入院してしまうケースが少なからずあります。
住民票はそのままなのでそこに郵送するのですが、独り暮らしで家族がいない場合は住んでいる気配がないため、郵便局の配達員が還付郵便として処理した結果、戻ってきたこともありました。
長期入院になったり、そのまま亡くなったりして空き家になる場合もあるようです。
こういったことも実際に現地に赴き、粘り強く隣近所に聞き込み調査を実施したからこそ分かったことでした。
また、庭付きの立派な一軒家に住んでいた方が住民票をそのままにして、突然失踪してしまうこともありました。
明らかに住んでいる気配がなく庭も雑草が生い茂り荒れ放題で、独りで入っていくのは少し怖い感じがしました。
玄関の呼び鈴を押そうと庭の中を進むと、つい最近使用したペットボトルや食料の容器、花火とおぼしき残骸が散乱していました。
その家の庭は木々に覆われていることに加え、お隣とは高い壁で遮られていることもあり、絶好の死角となっています。
空き家が増えると不審者や住居不定者がそこを根城にすることもあり、治安が悪化すると聞きますが、目の前の光景を見るにつけ実感せずにはいられませんでした。
最近でも、刑務所の脱獄犯の捜査も空き家が多い地区に逃げ込まれたことにより、なかなか見つけられない事態に陥ったことも記憶に新しいところです。
少子高齢化の進展に伴う現代的課題の一つとして、空き家問題も解決していかなければならない重要な課題ではないでしょうか。
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